FileMaker Pro 11 のお気に入り機能は「ポータルフィルタリング」

FileMaker Pro 11 が発売され(日本ではニュースのみですが)、ちまたでは開発者、ユーザー入り乱れて、様々な評価や意見で賑わっているようです。

US も含めて、総じてグラフ機能の追加が一番話題になっているようです。FileMaker 社も新機能の一番前面に出してアピールしていますし、確かにビジュアルな機能は違いが分かりやすいですよね。

しかし、へそ曲がりな私は、FileMaker Pro 11 で一番お気に入りの新機能は、「ポータルフィルタリング」機能です。「ポータルフィルタリング」を簡単に説明すると、ポータル設定の画面に計算式を設定することで、リレーション条件にマッチしている関連レコードの中から計算式に合う関連レコードのみを抽出することができる、という機能です。

(現在を含めて)従来は、「ポータルはリレーションが成立するすべての関連レコードを表示する」という枠組みを変える術がなかったので、例えば、このレイアウトにはこの2つの条件に合う関連レコードを、あちらのレイアウトにはさらにもうひとつの条件を満たした関連レコードを表示したいといった場合、それぞれを表示するためのリレーションを用意する必要がありました。

私は「データベースは器」を信じている派なので、構造に関係のない、表示のためだけにフィールドやらリレーションで構造が複雑になることは「美しくない」と強く感じていました。それでも、今までは仕方がなかったのですが、今後は単に画面上のポータル表示のためだけにリレーションを作ることはなくなるでしょう。

値を評価する必要のある、構造的な階層はもちろんリレーションを作成して、それに条件を追加した表示を得るためには「ポータルフィルタリング」機能を使って開発することになるでしょう。

ちなみに、計算式でリレーション先の関連レコードの値を参照する場合には、今まで通りの作法は必要です。「ポータルフィルタリング」はレイアウトに乗っかっているポータルごとに設定するオプションであって、データベースの構造を定義する機能ではありません。Sum、Count などの関数で参照する場合には、きちんとリレーションを定義することが必要なのは、言うまでもありません。

ちなみに、個人的には、五月雨式に進化してきた悪い面での影響も気になる点ではあります。例えば、従来の検索に加えて、10で追加された「保存済みの検索」、11で追加される「クイック検索」は、操作の一貫性が実現されているとは思えません。

ニーズの多い機能(とメーカーからの提案的な新機能)を段階的に開発するという手法は、ともすれば、場当たり的な対応になるリスクもあって、それが高じると使いやすさを売りにする FileMaker 的には大きな問題にならないかというのが私の懸念です。そうならないことを祈りたいと思います。

ちなみに、キー・プランニング発の記事が Codezine に掲載されました。
最近、このネタが多いともっぱらの評判(笑)の外部データソース(ESS)の活用方法に関する記事です。よろしければご覧ください。