FileMaker Pro 11 の開発屋にうれしい点

FileMaker Pro 11 の Mac OS X 版はインターフェースが、以前の carbon ベースから cocoa ベースに書き換えられています。このお陰で、様々なオブジェクトの操作がより Mac らしい動作になっています。

操作している端々で感じる点ではあるのですが、特に嬉しいのは、カスタムダイアログのボタンの動作です。今まではスクリプトからダイアログを表示しても、その中のボタン操作をキーボードから行なうことはできませんでした。「せめて、タブキーで選択状態になってくれれば」と感じたものですが、11 では最初からデフォルトのボタンが選択された状態で表示されます。ここで、enter か、return キーをタイプすると、デフォルトのボタンをクリックした時と同じ動作になります。

残念ながら、ダイアログ内でタブで選択ボタンを移動したりすることまではできないようです。本当に残念。ダイアログ系のプラグインはいくつも出ているので、そういったものを使えば、かなり高機能なダイアログを実現することもできますが、やはり、ライセンスやサポートのことを考えると、標準機能であることに越したことはありません。

あと、レイアウトモードでボタン定義を開いた時に、スクリプトパラメータ欄の上に歯車アイコンが表示されるようになりました。このアイコンをクリックすることで、選択されていたスクリプトの編集画面に直行することができます。もう少し直感的に行き着けると良かったのですが、それでも大きな改善です。もう今後は、いちいち[スクリプトの管理]画面を開いて、スクリプトを探すことはないでしょう。

このように、インターフェース面でより自然に操作を行うことができるようになったことは朗報と言えます。

あと、印刷関係のコードもかなりリライトされているそうです。印刷は、FileMaker、OS、プリンタドライバと3者の関係で生じる問題もあって、結構トラブルの絶えない分野です。メーリングリスト等でも問題の指摘がされていたようですが、そうしたことへの対応もあったのか、今回の書き直しになったようです。

私の周辺ではあまりトラブルがなかったので、特に違った印象もないのですが、こうした地道な改善はとても大切です。前に指摘したインポート、エクスポートのダイアログ操作も何とかしてほしいものです。最近開発していたシステムでもこの点が何とかなればなーと感じることがありましたので。

目立った機能は、FileMaker 社のセールストークや他のユーザの方が評価で触れられると思いますが、私は上記のような目立たない改善にこそ注目しています。なぜって、目新しい新機能を永遠に追加し続けることは不可能だからです。

すぐに営業トークに使えるようなものではなくても、地道に使い勝手、開発効率の向上につながる機能、そして、不具合の修正に取り組んでいってほしいものだと思います。


ちなみに、「FileMaker データベース開発テクニック 改訂版」の正誤表と追加サンプルファイルが公開されています。